運動知覚プログラム(PMP)

 

運動知覚プログラムの目的は、学校生活で必要となる技能の基礎となる運動技能を養うことです。座っていることの多い現代の生活様式のため、学校で必要な技能を身に着けないで入学してくるお子さんも少なくありません。PMPはこうした技術を、総合的かつ系統的に、楽しく身に着けることを目標としています。

「PMPでは、子どもが体を使ったり動く経験を通じて自分自身のことを認識し、理解する訓練をすることを目的としています」(Bulls、Coles共著「運動知覚プログラム―教師向けマニュアル」より)

 


PMPとは:

  • 体の動きと言語に基礎を置く総合的な発達プログラム
  • 運動協調性や認知発達、自尊心、社会スキル、学校生活に順応する力を養う
  • 手と視覚の協調運動、バランス感覚、移動能力、健全さに関する子どもの状態を教師が把握する手助け
  • 聴覚的短期記憶の発達を促進
  • 問題解決能力の育成
  • 楽しみながら取り組むことのできる一連の活動で構成
  • 不具合を未然に防ぐ方向に効果を発揮
  • 体育・保健科目の要素を幅広くカバー

知覚判断とは?

私たちは何事をするにも、感覚や経験を駆使して知覚による判断を下しています。この判断はその個人に特有のもので、自らの経験に依拠しています。この知覚判断こそが、身の回りで起きたことに対する私たちの反応を決定づけるのです。

自分自身、自分の体、自分の世界に関する知覚が十分発達していれば、様々な状況に応じて、ほぼ適切な対処を取ることができるようになります。経験を積めば積むほど、知覚も、動きを伴う反応の仕方も成熟したものとなります。無意識に反応できることが増えれば増えるほど、脳には別の要素を考慮する余裕が生まれます。つまり学校生活における子どもの学習もより容易くなるというわけなのです。

 PMPでは、楽しんで取り組むことのできる一連の活動を通じて、視覚や聴覚、触覚を用いることや、判断や反応を示す経験を積むことができます。身近な道具、あるいは特別に設えられた器具を使いながら、走る、跳躍、スキップ、ジャンプ、バランスを取る、這う、登る、投げる、受け止める、ボウリング、回転、滑るといった様々な動きを楽しみます。

子どもに身に着けてほしい知覚:

  • 自らに関する認識(身体のイメージ、左右の区別)。逆さにする、偏りがある等の問題を防ぐため。
  • 空間の把握。手書きの技能や時間の適切な使用を目的とする。
  • 時間の認識(体のリズム)。物事をリズミカルに思い浮かべ、効率よく動きまわるため。

子どもはバランス、移動、健全さ、視覚と手の協調運動といった運動技能がうまく機能する必要があります。不注意、白昼夢、うろつき、怠け癖、不器用さ、規律を乱す行為といった問題を抱えている子どもは、「知覚の世界」が未発達なことがよく見られます。そのせいで学校に馴染めなかったり最善な学習が行われなくなる可能性があるのです。

本質的にPMPは、問題が起こってからそれに対処するのではなく、問題を未然に防ぐもので、こうした諸問題を判断し様々な方法で克服して、子どもたちが学習過程で成果を得られるようにしてあげることにつながります。同時に子どもたちが社会的なスキルや自尊心を獲得することにも役立つのです。

PMPが成功すれば、子どもたちは一連の活動を通して認知力や運動技能を身に着けるほか、記憶力も強化されます。自信や問題解決力、言語スキルが発達するのに加えて、将来的に様々なスポーツや競技で能力を発揮するのに必要な運動の基礎力を習得することにもなります。自分に自信を持ち、学習面における困難に立ち向かい、自らの立ち位置を知り、世界への貢献の仕方を知る人間に育てる鍵がここにあります。

*PMPは3つのパートに分かれ、効果を上げるには全パートが実施されることが必要です。
内容 フロアセッション: -イクイップメントセッションの準備段階

– イクイップメントセッションが上手く進行するためには準備が肝要

- PMPモデルの効果

– スマートスタートモデルに含まれるスターターとエクステンションカードを利用

言語によるフォローアップセッション:

- 概念や知識をクラス内の事例に当てはめて理解する

頻度 – 2,3セッションに1回

– 1週間に4セッションまで

– イクイップメントセッション終了後

実施時間 – 一日のうちいつでも可

– 一日のうちいつでも可

– イクイップメントセッション終了直後

対象 – クラス全体

– ステーションごとに4-5人

– クラス全体

実施時間 – 30分のセッション

– 各ステーション5分ずつ、合計30分

– 5-10分

実施場所 – 安全であればどこでも可能

– ホールなどの安全で広い場所

– 教室 もしくはイクイップメントセッションの場所

手伝う人 – 特に必要なし

– 各ステーションに大人1人

– いなくても構わないが、いればなお良い

※各項目の上からパート1(太字)、パート2(斜字)、パート3(太字)

結論:

  • PMPは練習や実践を通じて子どもの知覚や周りの世界に対する理解を養います。
  • 運動技能の「自動性」を促します。
  • 幼児の運動能力の発達段階に基づき脳の働きを「統合」させる一助となります。
  • 幼児期の教育と公式学習の橋渡しとなります。

 鉛筆をきちんと持つことができない、先生の話をじっと座って聞くことができないなど、公式学習に取り掛かる準備ができていないで入学してくる子どもの例を多く見かけます。結果として学習が思うように進まなかったり、自尊心が低く学校を嫌がるようになりかねません。PMPを効果的に実践することでこうした問題の対処に役立つと信じています。

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